好きって言えない!30代の少女漫画シネマレビュー

毎週土曜日、更新!レクター&クラリスによる30本の胸キュンレビューです

第20回「青空エール」を30代男女が勝手にレビュー

監督 三木孝浩 脚本 持地佑季子
配給 東宝 公開 2016年
主演 土屋太鳳 竹内涼真
クラリスのレビュー

 頑張る野球部員をキラキラ真っすぐな主人公が応援、ケガのトラブル発生でどうなる?という、大枠のストーリーは予告編で得た情報通りでした。でもそれ以外の余白部分が面白かった。実はこれは部活あるある映画なのです。高校生活全てを部活にかけても、ケガという不運によって最後の舞台を踏めないという挫折。どんなに頑張っても経験者には勝てず補欠のままという挫折。それでも続ける意味はあるのか。映画の中では「一生懸命は人を動かす」という曖昧な答えではあったけれど、ま、何もやらないやつはスタートラインにも立てないってことかな。
 青臭いセリフの恥ずかしさ等を飲み込めれば、噂に聞く吹奏楽の体育会系ぶりなどにクスリとできます。それにしても映画のフォーマットとして高校生男女の恋はどうしても必要ですか?土屋太鳳のキラキラ目線とストロボ・エッジ有村架純がダブります。「部活動に専念したいから付き合えない」は爽やかなように一見思えるけど、欲を抑えていると考えると逆に生々しくて気持ちが悪いよ!

胸キュン度 10% 恋愛感情に関係なくお互い認め合う二人が1番良かった
共感度 50% 高校生が終わっても人生は続くという点に
寸止めドキドキ度 0% 俺のこと好きな土屋太鳳が他の人と付き合わず、ずーっと待っててくれるんだね
山あり谷あり度 60% 予告編に出てきた「帰れ!」が主人公ではなかったのは予想外
俳優の魅力 10% 葉山奨之のひねた感じが気になって思って調べたら綾野剛と同じ事務所でした。フーン


レクターのレビュー

キャストが映画に奉仕しているのではなく、映画がキャストに奉仕している作品。そんな印象を強く持った。つまり、ここには演技という概念も脚本という概念も存在していない。いや、「これまで映画と呼ばれていたもの」と比較するなら、だが。
象徴的なのが冒頭のモノローグでヒロインが「靴ばかり見ていたけど、見上げたら青空があった」と語るにもかかわらず、この時点で「靴」も「見上げる行為」も登場していない点。これはJ-POPの歌詞のおける「永遠を探して」とか「未来を抱きしめて」のような実体の伴わない美辞麗句と同じ、イメージを言語化しているポエムに過ぎないのだ。
個人的な好みは別として、イメージの言語化そのものを否定はしない。しかし、イメージを映像化するメディアである映画が、映像より言葉を優先しているのは破綻ではないのか。物語の軸にあるのはヒロインがヒーローを応援したいという単純明快な動機であるにもかかわらず、ラストショットがヒロインの所属する吹奏楽部の集合写真という文法の崩壊もまた、破綻の印象に拍車をかける。

胸キュン度 0% 胸キュンなどない
共感度 0% 誰にも共感など覚えない
寸止めドキドキ度 0% ドキドキなどしていない
山あり谷あり度 10% 山を作ろうという意思はある
俳優の魅力 1% 何も感じない



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