好きって言えない!30代の少女漫画シネマレビュー

毎週土曜日、更新!レクター&クラリスによる30本の胸キュンレビューです

第14回「植物図鑑」を30代男女が勝手にレビュー

今回の原作は小説で少女漫画ではないので、本来は番外編にしないといけないのですが「甘く切なく、最高にキュンとなる純愛映画」とうたっている映画なのでブログの主旨を踏まえて30本の中に入れることにしました。
ご了承ください。

監督 三木康一郎 脚本 渡辺千穂
配給 松竹 公開 2016年
主演 岩田剛典 高畑充希
クラリスのレビュー

実はご飯映画だったんですね。まずは普通のご飯練習しようよ
 そういう話と知ってはいたけど「自転車置き場で倒れてた男の子を部屋に泊めてあげる」という物語の始まりに度肝を抜かれ、ダメー!と叫びそうになりました。お腹が空いて一歩も動けないと言うけど君、髪ツヤッツヤでカラーリングばっちりだね?絶対、女の部屋に上がり込むことを商売にしてる人だ。寝静まった頃に内側から鍵を開け屈強な男たちが入ってきて酷い目に遭わされる怖い。と夜道を何度も振り返りながら歩くタイプの私はヒヤヒヤしましたが、朝起きたら涼しい顔をして男は朝ご飯を作ってくれるのです。うらやましいやないか。
 「お嬢さん。泊めてもらったお礼に、してさしあげましょう」って言うかと思ったけど、そんなことはなく出て行こうとする男を必死で引き留める主人公。会ったばかりで一緒に住んでなんてよっぽど・・でも男は手を出してこないので、なんでしてくれないの状態で主人公、暴走。そんな子が急に男が消えたらどうなっちゃうか、男性はよく見ておいた方がいいですね。別れ際って大事。

胸キュン度 30% 一般的な男女のロールモデルと逆の生活が自然にできる、優しい男に愛されたら幸せだよねっていう女の夢
共感度 60% 嫉妬や尾行はされたら嫌だから、私は人にもしないように自分を律してますよ。けど、しちゃう気持ちは分かる
寸止めドキドキ度 70% 先延ばしされると、いつ来るのかとドキドキ。同性愛者かもしれないから確かめた方がいいとは思う
山あり谷あり度 10% 設定が非現実過ぎて山には登り損ねましたが、笑い飛ばすのが正解かと
俳優の魅力 10% 「彼氏は欲しいけど絶対にアナタではない」捨て駒感がすごかったホリプロ阿部丈二と、ダンカンのパワハラっぷり


レクターのレビュー

1800円払って見せられた女性向けAV
ごく控えめに言って、脳が腐るかと思って見ていた。このブログで取り上げてきた映画の中でも群を抜いて酷い。最早、日本映画とはかつて映画と呼ばれていたもののフォーマットを借りて行なわれる巨大なコマーシャルでしかないのだと改めて実感。
飯のアップが多いのはクッキング番組と同じだから。俳優の顔のアップが多いのは女性向けAVにおける鈴木一徹と同じだから。クッキング番組や女性向けAVや鈴木一徹が悪いわけではない。だが、それらを1800円払って見たいわけではないのだ。
登場人物の行動に理由はなく、男が急に消えたのはまるっきり意味が分からない。そして恋人が失踪したのに1年間も名前をググりさえしなかった女は情弱を超えて白痴なんじゃなかろうか。クライマックスに向って登場人物のIQが犬以下になるのは日本映画で見慣れた風景である。公式HPを見れば、キャンパスノート風の字体と背景。あれ、女性誌でよく見かけるやつだ。俺、あれ死ぬほど嫌いなんだ。オシャレで独創的だと思っているかしらんが、あんなのみんなやってるからね!
<数値は採点不可>

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第13回「オオカミ少女と黒王子」を30代男女が勝手にレビュー

監督 廣木隆一 脚本 まなべゆきこ
配給 ワーナー・ブラザース映画 公開 2016年
主演 二階堂ふみ 山崎賢人
クラリスのレビュー

 校舎を出ると雨、土砂降りなのに空はピカピカに晴れてる。この瞬間に私は悟りました。学校を借りての撮影はスケジュールきついから曇りを待てなかった・・のでは断じてない。少女たちの嘘っぽい定形の世界の中で、いかに遊べるかの挑戦を監督はしてるのだと。傘を差しても濡れる雨粒と差しこむ太陽の中、走る二階堂ふみは生きてる。え、私やばい電波もらってる?
 渋谷の雑踏で人通りを止めずに主演俳優を立たせて撮影したり、酔いそうなくらい顔のアップが多かったり、逆にラストシーンは顔が判別できないほど遠くから撮ってたり。なんか色々やってくれて2時間もちました。
 私の心を突いたのは、女子は見た目のいい男とパンケーキ食べて優しくされれば幸せなのか問題。「コロッといきすぎ。男に飢えてる」発言は、観客への挑発では。これが噂のメタ構造か。300人のやれる子よりも大事に思えるたった1人だって、自分が投影したい幻想を見てるだけかもしれないし、本当に理解し合って愛し合うってこの世にありえるのかな。私は迷宮に入りました。

胸キュン度 60% 女子の二個イチの相棒感にキュンと来た。むしろ男なんていらない
共感度 40% 王子の言うように恋なんて勘違いで出来ていると思ってる。もちろん自分も含め!
寸止めドキドキ度 10% 開襟シャツを開いてせまる女子に恥をかかせてはいけないよ
山あり谷あり度 50% 出ました女子の憧れ・男の部屋で看病。おかゆで良ければ毎日作るわ
俳優の魅力 10% ストロボ・エッジで第2の男だった山田裕貴が、卒業して菜々緒ナンパ男になってた
レクターのレビュー

二階堂ふみのゆくえ…
これだけ数多くの映画賞を獲得し、名匠の作品に出演し、若手実力派の名を手に入れたはずの二階堂ふみ。そんな彼女ですら、その果てにあったポジションとは長寿バラエティー番組のレギュラーと少女マンガ原作映画の主演だった。この事実は、結局のところ、日本の芸能事務所において、良質の映画作品にタレントを出演させるというミッションが、いかに軽んじられているかを証明している。芸能事務所が作り出そうとしているのは、あくまで広義の意味のモデルでしかない。企業の広告塔として、ルックスと知名度を武器に振舞ってくれる人材を量産したいだけなのだ。特に芝居ができるわけでもないグラビアアイドルがほとんど芝居もせずにカメラに抜かれ続けているのもまた、政治の賜物である。空虚な物語に、「知名度が高い」という理由で主役が選ばれ、「事務所が売り出している」という理由で脇役が選ばれる。このシステムで真の意味での俳優など育つわけがない。ちなみに内容は見て5分で忘れました。

胸キュン度 0% というか忘れた
共感度 0% というか忘れた
寸止めドキドキ度 0% というか忘れた
山あり谷あり度 0% というか忘れた
俳優の魅力 0% というか忘れた

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今後の更新予定 オオカミ少女と黒王子ほか

クラリスです。
本日は「オオカミ少女と黒王子」の公開日!来週6/4(土)にレビューを掲載します。(ただしレクターはお休みかもしれません)

今後取り上げる映画の予定は、
公開日6/4~ 高台家の人々
公開日6/11~ 植物図鑑 運命の恋、ひろいました
公開日6/18~ MARS ただ、君を愛してる
(植物図鑑の原作は漫画ではなく小説ですが、同じ系列と見ていいですよね)

こちら、私の近所の映画館内の写真をご覧ください。
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これエレベーターが開いた瞬間に目に入る位置、つまり映画館的に一番アピールしたい映画を飾る場所なんですよね。
オオカミ少女と黒王子
植物図鑑
MARS
この3本が、お客さんがたくさん来ると見込まれる、映画館のイチオシなのだという事が分かりますね。


それと、女子トイレに貼ってあるステッカー
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2作品とも配給が東宝なので、東宝が作成して映画館に配っているものだと思います。このステッカー、女子トイレ個室でよっこらしょっと座ると目の高さに貼ってあるんです。これがうっとおしくて、うっとおしくて!
大体が、見たくもない少女漫画原作映画だったりして、ケッと思っていたわけです。「見るわけないってば!」と半ば怒りながらトイレを出ていたのです。
が、このブログの「見たくもない少女漫画原作の映画を30本見る」という挑戦は、このステッカーによって生まれたと言ってもいいでしょう。「じゃあ見てやろうじゃないの」と思って始めたわけですから。

本当は、私が見たいのはこっち
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「団地」と「後妻業の女」


ブログのために見るのはこっち
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それにしても、この2つの映画チラシ、そっくりですよね。B5中開きで
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中面も似てるし
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裏表紙も似てる。
同じデザイン会社に、まとめて発注して割引してもらったのかな!2作品とも製作に日テレ入ってるし。そんなわけないか!万人に受けるように無難に仕上げると似てくるってことですかね。

今週中に「オオカミ少女と黒王子」を見ますが、予告編を見たら全部見たも同然に思えて、期待感がゼロです。この話何回も聞いたなというストーリーで、どこを見たらいいのか・・。ただ、公式サイトの映画『オオカミ少女と黒王子』PRODUCTION NOTEがとても真面目に書いてあるのが面白くて、「山崎から作品に集中したいのでカツラではなく地毛を金髪にしたいと申し入れがあった」とか書いてある。大そうに書かれてるけど1か月間、金髪にするだけ・・。
私の楽しみは、主人公の女友達(これ系の映画には必ずこの役ある)で門脇麦が出てるのと、「クラスで一番イケてる女子に見える」とオーディションで選ばれた池田エライザ玉城ティナ
オオカミ少女と黒王子」にお金払うの嫌だけど、見てきます!

第12回「アオハライド」を30代男女が勝手にレビュー

監督 三木孝浩 脚本 吉田智子 配給 東宝
主演 本田翼 東出昌大 公開 2014年
クラリスのレビュー

イメージビデオと思って見ればいいのかな?
 出ました、制服ズボンのポケットに手をつっこませたら日本一かっこいい男、東出昌大。今回もつっこみまくっています。立っているだけでかっこいい男に、友達が恋のライバルだったけどあっさり退場、メンタル弱めで依存癖のある新たなライバル、私を好きな第2の男、と何度同じ話を繰り返すのかと言いたくなるストーリーです。
 見どころは、おかしくもないのにヘラヘラ笑い、その場をやり過ごして生きていた主人公が、辛い過去にとらわれている男を変えようと頑張るところ。私は頑張る女の子は大好きなんだ。それと風景、夜明けの空、長崎の坂に建つ住宅街。きれいな風景を見ると、まあいいかと流されてしまいます。これは「東京いい店やれる店」方式ですね。雰囲気に流されがちな女子には、とりあえず朝焼けを見せておこう。
 さて、話の核となるのが親との死別。それを乗り越えるのは辛いし実人生でも重要なこと。でも恋愛と絡めてしまうと、話を盛り上げるために死を題材にしているだけに感じてしまいます。軽く扱っているつもりはないのでしょうけど、私にはそう見えました。

胸キュン度 10% 顔がきれいな男女がきれいな景色の中にいれば少しはキュンとする
共感度 0% あの子を愛してないけどほっとけない理由があるんだ・・って30年前からの定番
寸止めドキドキ度 0% そんなシーンはなかったと思う
山あり谷あり度 0% 再会とか修学旅行とかあるけど大した山に思えない
俳優の魅力 5% 高畑充希は、ややこしい女が似合うね!


レクターのレビュー

テンプレートになった「影のあるヒーロー」
人物の行動原理をきちんと示し、その人物がどうしてそんな性格になってしまったのかを観客に伝える・・・それは脚本の基本である。よく、学園ハーレムもので主人公が読者から毛嫌いされることがあるが、それは主人公がどうしてそんなにモテるのかの理由が示されていないからだ。少女マンガ、少年マンガに限らず。
しかしながら、現在の日本映画で勘違いをしているのは、人格形成の理由をすぐにトラウマや複雑な家庭環境に求めることである。あるいは、トラウマ持ちの影のあるヒーロー、という定型が生まれてしまっているのかもしれない。結果、物語の構成は見事にワンパターンになる。人様の過去に首を突っ込んで、「私が癒してあげる」的なスタンスを貫くヒロインも不愉快。
真に性格が歪みきった人間と付き合っていくには、それ相応の覚悟と忍耐が必要だが、多くの場合が一つのきっかけで事態が好転し、大団円を迎える。その程度の傷なら、最初から何も問題など起こらないはずだろうに。テンプレートになった黒い感情ほど、醜悪なものはない。

胸キュン度 0%  胸キュンなどない
共感度 0% 誰にも共感など覚えない。
寸止めドキドキ度 0% ドキドキなどしていない
山あり谷あり度 1% 全てがありがちで予想通り
俳優の魅力 10% 本田翼の見た目は好き



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番外編「桐島、部活やめるってよ」を30代男女が勝手にレビュー

今回は番外編!

多くの少女マンガの舞台である”高校”だが、高校映画の新たな金字塔となったのが『桐島、部活やめるってよ』だ。少女マンガ映画ブログとはいえ、ここまでの支持を受けている高校映画を避けては通れまい。
10代からは共感を呼び、中高年の評論家からは絶賛された本作を30代の2人は遠い目でどう見るか?

レクターのレビュー

どんなに絶賛されようが、この一点だけは揺るぎませんよね?
山根貞男キネマ旬報誌の時評で書いていたことが全て。つまり、登場人物の大半が、物語が進行にするにつれどんどん嫌な人間になって終わってしまっている。原作が評価されたのは、現代の高校生活における、様々なグループ毎のリアルを、ついこの間まで高校生だった作者が描いたからだった。にもかかわらず、映画は途中までこそ原作のエッセンスを踏襲しているものの、結局、帰宅部である東出くんと映画部の話に落ち着いてしまう。そして、他の生徒たちは「その他大勢の悪役」にされてしまっているのだ。
映画秘宝映画芸術キネマ旬報の三誌が年間ベスト10に挙げたように、本作は世代を問わず支持された映画だ。それでも、本作が「東出くんと映画部以外の全員が悪者になって終わる物語」という一点は、絶対に揺るがないし、それがテーマに適したプロットかと問われれば、いかなる好意的な解釈も成り立たない。どうしてこんなことになったのか?
それは、群像劇を収束させるための手段として「共通体験」を持ち出そうとしたのに、その「共通体験」が機能していないからだ。ここでいう「共通体験」とは、違う階層、集団に位置する人々を繋ぎ合わせ、力技でオチをつけるための大きな現象のことだ。例えば『マグノリア』のカエルであり、『ナッシュビル』の銃撃である。しかし、『桐島』では、「共通体験」としての「桐島の目撃談」が終盤へと向かうための単なるきっかけでしかなく、登場人物の心を繋ぎ合わせる力を持たなかった。
あるいは、それがメッセージなのかもしれない。高校生活における異なる系統のグループ同士とは、相互理解が不可能な集団なのだと。だとしても、東出くんと映画部の交流で終わるラストとは矛盾してくる。
本作がロールモデルにしたであろう、『ブレックファスト・クラブ』を見返してほしい。映画版『桐島』のキャラクターたちが、いかに記号表現に飲まれた無機的な存在であることかが分かるはずだからだ。

クラリスのレビュー

そう、女の子はどうでもいい男子のことは透明人間のように思っている
 賛否で言うと私は「桐島」賛成派。理由は単純、見ていて面白かったし、普段は映画を見ない人にも薦めやすい面白さだから。社会現象になるほどヒットしたのは、継ぎはぎしていくことで全体像が見えてくる造りや、楽しくアレンジしやすいタイトル(「人のセックスを笑うな 山崎ナオコーラ」以来のキャッチーさ)、桐島出てこないのかよという突っ込み待ちの余白が、SNSの時代にうまく合ったのだろうなと思う。それは肌で感じている人が多いのでは。しかし題材に定めてこの映画について私が人に伝えたいことはなんだろうと考えたとき、なかなか出てこなかった。
 吉田大八監督の映画は抑圧されている人の話というイメージ。怪物的な姉や、子どもの頃の辛い記憶、気づまりな夫婦生活、そして3年間同じメンバーで密閉される高校生活など、抑圧するものは映画によって形を変える。そこから抜け出すのがもちろんラストだけど、「桐島」ではどこへも脱出できず、学生生活は続くのだ。
 どこかに10代の自分がいる気持ちで辛くなったり切なくなったりするが魅力の映画だけど、実際には私の学校には分かりやすい階層はなかったし、私は他人の目をそんなに気にしていなかった。自分を持て余して陰鬱な日々、椎名林檎が歌うようにクラスメイトは死んだ魚の目をしているのかと思っていた。それと比べると「桐島」の高校生達は、人から見て自分がどういう属性かということを重視して生きている。
 今となっては「世代が違うんだね」「しょせん子どもが狭い世界で小さいことで悩んでいるだけ」と言ってしまいそうになるけど、そこに今いる子にとってはそれが世界の全てで、その中で自分の役割を演じられなくなったら逃げるしかないというのが人生の切実。私は私で、おばさんになっても悩みが生まれてそれは高校生の私には想像もつかなかった。悩みは尽きず、少しでも打開しようともがき続けるのが人生ということかな。つらーい。

第11回「ちはやふる 下の句」を30代男女が勝手にレビュー

監督 脚本 小泉徳宏
配給 東宝 公開 2016年
主演 広瀬すず 野村周平 真剣佑
クラリスのレビュー

素直に受け入れ笑えるなら私もっと得な人生歩めたと思う
 上の句で私が乗れなかった原因は「わざとらしさ」。それを1番感じたのは國村隼の原田先生で「若者を導く身近な師でございますよ」演技がわざとらしくて見ていられない。國村さんは映画やテレビで何十回も見ているはずで、一度もわざとらしいなんて思った事ないのに。ちはやの白目ギャグも「ここが笑うところですよ」とお膳立てされすぎてて笑えない。この映画がヒットし皆が褒めていることに寂しさを感じる。一人置いていかれバスを追いかけて「待ってみんな・・」と走っている気持ち。そうだった!「私が見たくもない映画がなぜヒットしているのか」という疑問がこのブログを始めたきっかけだったと、思い出しました。
 とは言え下の句はわざとらしさ控えめで(見慣れただけか?)近江神宮に着いたところから面白くなりました。やはり仲間が欲しくて何かをするのではなく、好きな事をしていると仲間ができるというのが順番だよね。その点で言うと、上は下の壮大な前フリということになりますが、それでよろしいですか。

胸キュン度 60% 太一が新に電話するところ。自分の弱音をライバルに相談して相手を元気づけるという
共感度 60% 新がD級の試合を見て気持ちに小さな火がポッとともるところ
寸止めドキドキ度 1% 冒頭のわざとらしい地面ドンは少しでもドキドキを入れようとしたのかな
山あり谷あり度 50% 103分が長く感じちゃったな。最後の最後のシーンは蛇足だと思うけどそこが少女漫画映画
俳優の魅力 50% 松岡茉優ちゃん、目線だけで凍らせる女王の風格


レクターのレビュー

明らかに一人だけレベルの違う若手がいるのですが・・・
日本と同じくハイスクールを舞台にした映画が量産されているアメリカでも、それらが若手俳優の登竜門になっている傾向は変わらない。違うのは、アメリカでは俳優に演技力が優先的に求められ、日本では芸能事務所の斡旋や、俳優のブランド力が優先的に求められている点だろう。だから、日本のハイスクール映画では、見た目だけが綺麗なモデルたちが、芝居のようなものを自己陶酔とともに披露する様を見せつけられる羽目になる。『ちはやふる』でもそれは基本的に同じだが、俳優が等身大の役柄を割り振られているので、些かながら鑑賞時の苦痛は和らいでいる。むしろ、終盤15分のスーパースロー大会のほうに呆れた。そんな中、松岡茉優だけがお遊戯レベルの高校生軍団の中で一人だけ、「芝居」を行なっているのに驚愕させられた。少年野球に全盛期のイチローが混ざっているよう。特に受けの芝居が秀逸。松岡が制服を着られる間は、日本の少女マンガ映画およびハイスクール映画は、彼女をブッキングできるかどうかで成功の是非が変わるだろう。

胸キュン度 5%  テンポが遅すぎで胸キュンなど起こらない
共感度 20% 雨の中でずぶ濡れになって人を待つヒロイン・・・。家に入れてもらおうね。
寸止めドキドキ度 1% そういうものでもない
山あり谷あり度 1% 原作を読んでいるとはいえ、最後まで予想通りの内容だった
俳優の魅力 50% 全て松岡茉優一人への数値



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第10回「天然コケッコー」を30代男女が勝手にレビュー

監督 山下敦弘 脚本 渡辺あや
主演 夏帆 岡田将生
配給 アスミック・エース 公開 2007年
クラリスのレビュー

何度でも戻りたくなる、あの子達のところに
 山下監督の初期作品を見たとき、なんて面白いんだとびっくりした点が2つありました。ひとつは人に対する意地悪な目線、もうひとつは1秒違えば成立しない会話や動きの面白さ。前者は、どうしようもなくダメな人や怪物のような性格の人って、身近にいると困るけど観察対象としては最高に面白いよねってニヤニヤしている感じ。「マイ・バック・ページ」の松山ケンイチにそれが引き継がれていて、あの人は怪物+人たらしで、ニヤニヤどころか恐怖だったわけですが。
 「天然コケッコー」は後者の「監督の頭の中にある正解を、どうやって演出しているのだろうか」と不思議でたまらない面白さが魅力。少女漫画原作という縛りでこれまでの9作と並べて見ると、恋の割合少な目。そうそう、主人公が恋をしているからといって、好きとか好きじゃないとかどうでもいいことばっかり言わなくていいのよ。子ども・田舎の純朴さが可愛くて愛しい。「味園ユニバース」は私の好きな2点があまりなかったので新作「オーバーフェンス」が楽しみです。

胸キュン度 60% 恋というより、あの世界に生きていたかもしれない中学生の私を想像してキュンとなる
共感度 80% 転校生の男の子がかっこよくて何考えてるのか分からない感じだったら、それは好きになる
寸止めドキドキ度 0% どこかで道が分かれて、大切な思い出として永遠に宝箱に入れておくのでもいいな
山あり谷あり度 60% ほぼ日常ですが、子どもにとったらそれが全て。東京の存在が大きな山
俳優の魅力 70% 子ども達の自然さが魅力的


レクターのレビュー

松ヶ根乱射事件』とのセットで鑑賞ください
「強者による弱者の捕食」というテーマを違うベクトルから描いた『ジュラシック・パーク』と『シンドラーのリスト』。スピルバーグは同年にこの二本を公開した。映画作家が固定されたテーマを一貫して描き続ける生き物だとすれば、多くの映画作家はこのような双子じみた作品を短期間で残しがちだ。山下敦弘にとっては『天然コケッコー』と『松ヶ根乱射事件』がそうだったのだろう。「田舎の生活」をそれぞれに描いた二本が同年に公開されたのは、運命じみた一年だったとしか言いようが無い。内容はといえば「光と影」、「健全と不健全」、「無邪気と邪気」・・・。それは偽善とか偽悪とかではない。同じ場所のどこに焦点を定めるかで、物語とは形を変えてしまうのだと実感させられた。個人的な好みでいえば、より陰部に迫った『松ヶ根~』のほうが遥かに好みだが、だからといって『天然コケッコー』の価値が下がるわけではない。これから鑑賞される方々には是非とも、二本揃って出の体験を望む。

胸キュン度 5% 眩しすぎて胸キュンなどない
共感度 5% 田舎を美化しすぎではあるので
寸止めドキドキ度 10% そういうものでもない
山あり谷あり度 10% それがないのが良いが、ダメな人はダメだろう
俳優の魅力 60% 実は脇のベテラン陣がものすごく良い

映画「天然コケッコー」公式サイト

www.youtube.com